エホバの証人2世のコンプレックス 概論(2)

社会問題としてのエホバの証人

エホバの証人2世のコンプレックス 概論(2)

世間はあなたに興味がない

自分はエホバの証人だったという、
負のバックグラウンドがあるということを他人にカミングアウトするのは、勇気がいる。

これは正直、人を選んだほうが良いだろう。

他人に関するマイナスの情報が何よりも大好物で、
陰でコソコソ言いたがる人間はどこにでもいる。

そう、エホバの証人の中にもいたはずだ。
当然ながら元JWの中にも大勢いるし、
会衆だろうが会社だろうが、信頼できる人間を見出す努力は変わらず必要だ

そうして友人と言える存在ができたら、意を決してカミングアウトしてみてほしい。

大抵の場合、「へ~大変だったんだね」程度の反応である。

世の中そんなものだ。

エホバの証人のせいでどれほど苦しんできたかなんて他人にはわかりっこないし、
エホバの証人が実はどれほどヤバいかなんて知らないのが普通だし、
実はカルトと呼ばれる宗教をやっている家庭なんていくらでもあるし、

そもそも自分がエホバの証人だったという事実が目の前の友人を動揺させるほどに興味を持たれていると思うのが大きな間違いなのだ。

次に会ったときには、そんな話は忘れられていることだって、よくある。

親しい間柄の個人に対しては

ただし相手が○○年来の大親友だったり、恋人だったりすると話は別だ。

前者は「なんで今まで隠してたの!?」となりかねないし
(親身になって慰めてくれる可能性のほうが高いと思うが)、
後者は相手によっては本気で破談になりかねない。

だからといって隠しておくよりは、早めに言ってしまったほうが良い
今の時代、複雑な家庭事情の一つや二つ、誰でも持っているものだ。

親がエホバの証人だという問題は、世の中によくある「フクザツな事情」と比べて、
特段のインパクトを持つほどの話ではない。

不幸自慢は無意味

人はみんなそれほど他人に興味がない
良くも悪くも自分のことに興味がある。

だから、せっかく意を決してカミングアウトしても、
気がついたら相手の不幸自慢を延々と聞かされる羽目になる、なんてことも珍しくない。

もしそうなったら、拍子抜けするとともにだいぶ気が楽である。

実際、そういった人々だってよくよく知ってみれば相当な事情を抱えていることがほとんどである。

元エホバの証人2世が抱えている問題などは、”事情”に限って言えば
・世間的に評判の悪い宗教に属していた(表向きはにこやかで礼儀正しいエホバの証人なので、意外に評判が良い場合もあって拍子抜けすることも)
・学歴が低い(高卒)、職歴がない(フリーター)
・幼少期に虐待を受けた(いわゆる鞭問題)
・家族と絶縁状態(断絶、排斥者)
・精神を病んでいる(人による)
といったものだろう。

これらに加えて、一般常識に欠けているという自覚による劣等感、といったところだ。

合わせ技で考えると結構大変、となるが、
一つ一つ別々に考えていくとどれも大して珍しくもない

世間的に評判の悪い宗教の人と言えば、
エホバの証人レベルではない有名どころがゴロゴロいるし、
このご時世、経済的な理由で大学へ行けなかったという人は沢山いる。

行ってても奨学金をもらったので返済が大変だ(つまり借金問題)などという話はいくらでもあるし、
親に理不尽に殴られて育ったというのも、
親と絶縁状態というのも、
鬱病だというのも、
はっきり言ってこの世の中には掃いて捨てるほどいるのだ。

そこへ持ってきて自分がとっても不幸な人間でございます、という顔をしても、
世間様からすれば「甘ったれるな」と言われるのがオチである。

それが怖くて世に出られないなら、
覚悟してエホバの証人として余生を送れば良いのではないだろうか。

それで老後がどうなろうと誰の知ったことでもないが、それは”世”に居たって同じだ。

エホバの証人問題としては年金のことがよく槍玉に挙げられるが、
“世”でもわざと年金を払わない、
あるいは事情があって本当に払えない人間が沢山いるのは同じだ。

エホバの証人を続ければ少なくとも今のコミュニティの中ではやっていけるし、
親兄弟とも疎遠にならずに済むかもしれないが、あなたの心が病むリスクは高い

あなたの「悩み」には答えが出ている

いくらエホバの証人であっても、日本に住んでいるなら日本社会の一員であることには変わりなく、
その社会の中であなたという一個人がどちらの生き方を選択するかというだけの話であって、
厳しいことを言ってしまえば、別に社会は今のあなたがどちらを選ぼうと、どうでも良いのである。

それを根本の部分で感じているからこそ、
家族や友人といった目に見える要素は、
エホバの証人でいるか、脱するかの決定に重大な影響を及ぼすのだ。

だが、ここだけは自分で決定しないといけない。

大事なのは、10年後、20年後に自分がどのようでありたいかを考えること
そしてどのように死を迎えたいかまで考えてみられればなお良い。

しかし、それが今まさに悩んでいるエホバの証人にとってどれほど難しいことであるかも、
元2世として重々承知している。

1世のように”世”とエホバの証人を天秤にかけられない苦しさに覆い尽くされ、
思考停止しそうになってしまうはずだ。

では、逆にこのままエホバの証人として歩んだ場合の10年後、20年後を想像してみてほしい。

そこに、今の悩みなど綺麗に消えた、
幸せなエホバの証人像を思い描けるくらいなら、
今ごろあなたはこれを読んではいないだろう。

欲しい関心と無関心

現実問題としていまあなたが本当に辛さを抱えているという場合、
「そんなの世間ではたいしたことない」
という言われ方をすることは、正直苦痛かもしれない。

共感してくれる、慰めになる身近な理解者が必要、という時期もある。

要は、エホバの証人2世育ちのせいで人格的・性格的・物理的になんらかの影響を受けていて、
それをコンプレックスに感じていたとしても、

社会的にはそんなことには関心を持たれないので気に病む必要はないが、
身近には関心を持ってくれて理解してくれる人間がいたほうが良い
ということである。

世間から見て大した問題ではなくても、
自分にとっては大した問題であることを理解してほしいと求める人が多い。

というわけで、エホバの証人を辞めた2世は人間関係の面でけっこう苦労することがよくある。

その理解者の役割を恋人や、あるいはSNSで知り合った人、さらには元JWオフ会で出会った人などに求め、
距離感を間違えてトラブルに発展する例は枚挙にいとまがない。

(※)2019年8月の記事移設に際し、一部加筆しました。

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