一神教における神と人との関係性

ヨーロッパ文明から読み解くエホバの証人

一神教における神と人との関係性

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人は神の”所有物”に過ぎない

エホバの証人をやめたとき、キリスト教の神にも反感を覚える者が少なくない。

「自分は神の持ち物などではないし、人生を神にどうこう言われたくない」
「勝手に造って、勝手に不幸にして、神を信じた者だけ救ってやるなんて横暴にもほどがある」

といった感想を持つのである。
しかし、そもそもにおいてキリスト教では、この感想自体が否定される。

神は人間を造った。
造られた人間は神の所有物であり、所有物であるからには神は人間を自由にして良い。

これが答えだ。

近代文明においては「所有権」という考え方が非常に重要なものとなっている。
自分の所有物を絶対的に支配できる、私有財産制度が成立したからこそ、西欧は中世の封建制から脱却し、近代化することができた。

封建制とはつまり、一部の有力者が一定の範囲全ての土地を持っており、
その有力者と主従関係にある臣下がその土地に住める、という制度であり、
現代のように土地を細かく分けて個人や法人の持ち物とする制度とは全く違う。

所有権とは、「使用・収益・処分を自由に行う権利」のことである。

言うなれば、神にとっての人間は、人間にとってのCDのようなものだ。

まず使用。
自由に収録された音楽を聞いて良いし、データを記録しても良いし、フリスビーのように飛ばしても良いし、田んぼに吊るして烏避けに使っても良い。

次に収益。
誰かに貸し出して収入をあげて良い。

最後に処分。
中古ショップやオークションで売っても良いし、割っても良いし、レンジでチンしても良い。

これらの権利を行使するのに誰にも断る必要がない、というのが近代的所有権だ。

つまりこれは、神と人間の関係として理解されていたものを人間とモノの関係に落とし込んだシステムなのである。

西欧を中心に、一神教の社会ではこれはなじみやすかったのだが、
多神教の社会では導入しづらい。

よって本来日本でもなじみにくかったはずの考え方なのだが、
ご存知のとおり明治以降、
西欧文明に習って近代化を果たしたおかげで今では近代的所有権という考え方は完全に日本社会に根付いている。

毎日の買い物も、国内や海外の経済活動もすべて所有権のうえに成り立っている。

ところが日本人は所有権という思想が一神教に由来することを意識せず暮らしている。
ここが日本人ならではの認識のズレにつながっている。

考えてみてほしい。

例えば自分が粘土細工などで人形を造ったとする。

前述のとおり所有権があるのでその人形をどうしようと自分の勝手なのだが、
突然人形に魂が宿って「造ってくれと言った覚えはない」「オマエなんか知らない」などと言い出したらさぞ腹が立つだろう。

しかし人形が造られている最中のことなど覚えているはずがない。
それを教えてあげるのも造り手の務めと言える。

そのことを教えるために神が用意したのが、いわゆる「聖書」であり、これを読んだあとでは怖くて神に逆らえない。

それが一神教の世界だ。
即ちこれが「絶対的主権」という考え方である。

日本文化の中に、このような考え方はもともと存在しない。

だから、エホバの証人とは何だったのかを考えるためにはまず、
聖書とは何かを考える必要があり、即ち神とは何かを学習する必要があるのだ。

そこをなおざりにして、「終末思想」や「幸せになる方法」といった切り口から信者集めをするから、
エホバの証人はいつまで経ってもまともな思想を持てないのだ。

2世のあなたなら、
幼いころから耳にタコができるほどものみの塔を勉強したはずなのにどうも神という存在をはっきりしたものとして感じられず、
聖書とはどういうものかも今ひとつはっきりと確信を持って答えられないと感じているのではないだろうか?

それこそが、ものみの塔がエホバの証人の独特な教義を植え付けてばかりで土台となる重要な知識をしっかりと教えていないことの証明であり、
エホバの証人はキリスト教ではないと言われる所以である。

別の見方をすれば、
キリスト教の精神が国家にも社会にも土台として備わっている米国で、
米国人によって書かれたものを直接翻訳して教えているだけの日本のJWの限界、とも言える。

さて、同じ一神教でもユダヤ教の神とキリスト教の神はかなり異なる性格を持っている。

それらがカルトの手にかかるとどうなるか、が次記事のテーマである。

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