エホバの証人2世のコンプレックス 具体論(2)

社会問題としてのエホバの証人

エホバの証人2世のコンプレックス 具体論(2)

※この記事は「エホバの証人2世のコンプレックス 概論(2)」とセットになっています。

世間はあなたに興味がない(具体論)

自分がエホバの証人として育てられたことをカミングアウトする、しないに関わらず、
“世”でうまいこと生きていこうと思うのであれば気をつけなければならないことがある。

本音で生きることだ。

そもそも2世として育った人は、
模範的であればあるほど「礼儀正しくて爽やかで謙虚」といった評判を得ているのが普通だし、
一般社会から見てもそのような人間として見えることが多い。

しかしそれはほとんどの場合、作られた仮面であり、善人の皮である

2世はそのような人間として振る舞えば評価してもらえることを知っているから、
そう振る舞っているというのが真実だろう。

つまり、自分というものを出さずに生きている。

一般社会で同じように生きようと思うとどうなるか。

「よくわからないヤツ」「自分がないヤツ」というのはすぐ見抜かれてしまう。
自分がなくても仕事はできるが、腹を割って話せる友達ができない原因となる。

何か態度や反応が表面的で、その人そのものが見えてこないイヤな感じを抱かれてしまう。
そんな相手と友達になったり、ましてや恋人になったりしたいと思うだろうか。

出会う万人と波風を立てることなく仲良くしたい、トモダチ100人できるかな♪
それは無理な相談だ

出会った全ての人のうちたとえ2割に嫌われたとしても、
他の7割とはうまくやり、残りの1割に好かれることができれば人間としては相当に上出来と言えるだろう。

興味を示してくれる特定の個人に対しては(具体論)

友人関係であればお互いのバックボーンが付き合いに大きな影響をもたらすことはそれほどない
大きな影響が出るような関係であれば、そもそも友人になっていないとも考えられる。

後々問題となりやすいのは、やはり結婚に関してだろう。

昔の日本ではやはり家と家の結婚という面が重視されたが、
今では一部の因習的な文化の残る地方や、
家柄のある家系などを除けば当人どうしの合意で事足りることがほとんどである。

不幸なことに、出会った相手がたまたまそういう家庭である場合もあるが、
おそらく大半はそうではなく、家族との隔絶についても理解を示してくれることが多いはずだ。

むしろ、相手も「複雑な事情」の一つや二つ抱えていることも多く、
自分が元エホバの証人であることで不安を抱いているのと同様、
相手も自分はちゃんと結婚してもらえるのだろうかと不安を抱いていることがかなりの確率で、あるものだ。

思い返せば私も、今まで交際した女性は皆、
けっこうシャレにならない家庭事情をそれぞれに抱えていたものである。

また個人的な見解だが、いわゆる“毒親”に育てられた人は、
親を反面教師として幸せな家庭を築こうと努力することが多く
夫婦仲や親子仲も上手くいっているパターンがけっこうな割合で見られるように感じられる。

生活や人間関係の指針を組織や他人の考えに依存することなく、
自分でしっかり考えて行動するようになるからだろう。

一方、残念ながら”毒親”の影響もあってか精神的な病を抱えてしまい、
家庭を築くどころではなくなってしまう場合もエホバの証人2世には多く見られると思われる。

いずれにせよ、最終的に責任を取れるのは基本的に自分しかいない、というのが厳しい現実だ。

不幸自慢は無意味(具体論)

残念ながら他人はそれほど自分に関心を持ってはくれないが、
ブログでは延々と自分のことだけを書き続けられる。

自分がいかに酷い目に遭ってきたか、今の自分がいかに傷ついているか、
書いて書いて書きまくることは即ち「癒し」となる。大いにやれば良いと思う。

自分の救済にだけ興味があるのなら、思い切り書いてスッキリして、エホバの証人問題からは足を洗う
それが最も健全な姿だろう。

現在進行形で苦しみや葛藤が続いている人がブログで吐き出し続けることはある意味必要なことではあるだろうが、
言わばネタ切れになった状態でも延々と組織に対する批判や恨み言を書き続ける状態というのは、
良い悪いの問題とは別に、決して健全な状態とは言えない

もし「反ものみの塔の活動家」を名乗る気があるのなら、もっと別の展開を考える必要があるだろう。

少なくとも、エホバの証人だった者がいわゆる「覚醒」する過程には、
そして反JWとしてネット上で交流する集団には、どうしても避けられない罠があることは事実だ

一般社会の各種コミュニティは、ものみの塔も指摘しているとおり少なからず問題を抱えている。
しかし、そのエホバの証人というコミュニティも、ものみの塔が自画自賛しているのとは裏腹に問題のある集団である。

ということは、この事実を踏まえると、
元エホバの証人のコミュニティにもやはり少なからず問題が存在するというのは決して言い過ぎではなく、
これもやはり事実が物語るとおりである。

そしてそれは今に始まったことではなく、
インターネットというものが普及してきたここ10年ちょっとの間に何度も同じような問題が繰り返し起き、
少しずつメンバーを入れ替えながらさらに何度も繰り返してきたことだ。

ここまで、エホバの証人2世だったからと言って”世の人”とそれほど変わった何かがあるわけではない、
という話を4記事にわたり展開してきた。

しかし、それは個々の2世を一般社会の中に置いてみたときの話であって、
やはり集団として見た場合には明確にエホバの証人2世だった影響というものが浮かび上がって見えてくる

次回からは、このエホバの証人の抱える病理の根底を探っていく。

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