元エホバの証人コミュニティの罠(2) 被害者編

社会問題としてのエホバの証人

元エホバの証人コミュニティの罠(2) 被害者編

元エホバの証人コミュニティのメリット2

前回は元エホバの証人によるブログがもたらす主なメリットとして、
コミュニティに新たにやってくる新参者に対する感情的ケアの側面と、その罠を取り上げた。

さらに別の側面としては、
ものみの塔の教えが間違っていることを確信させる、
いわゆる覚醒させる助けとなる
理性的、論理的アプローチを行える側面が挙げられる。

児童性的虐待問題、国連NGO問題、紀元前607年問題、1975年ハルマゲドン予言問題などなど、
様々な面からものみの塔がどれだけ自画自賛する清い姿、
唯一正しい真の組織とする姿とかけ離れているか、

またその教えがどれほど根拠の危うい、
もしくは根拠の間違ったものであるかについてこれでもかというほど情報が溢れている。

こわごわネットで検索してみた現役がそういった情報を目にして「覚醒」し、
ではエホバの証人をやめよう、という行動へとつながっていく。

これは紛れも無く元エホバの証人コミュニティによる成果であり、
組織を出ることのできた人がそこへ加わりたいと思うのも当然の流れと言えるだろう。

元エホバの証人の陥る「極端な態度」

第二の罠は主にこの「覚醒者」に対して訪れ、
そしておそらくこれが元エホバの証人コミュニティに対してもっとも支配的にはたらく空気感である。

それは即ち「極端な態度」だ。

これは従前から指摘があるとおり、
元エホバの証人コミュニティには多分にエホバの証人が持っているのと同じ問題点があるということだが、
これはやはり事実だろう。

エホバの証人が「自分たちは真理を知っている」と思い込むのと同様、
「ものみの塔は間違った悪の組織で、徹底的に糾弾すべきだ」という真理がある。

エホバの証人が「調べてもらえば必ず真の組織だとわかる」と、
出版物だけを読んで言うのと同様、
「調べてもらえば必ず悪の組織だとわかる」と、
反JWブログや反JWサイトのみを読んで言う。

エホバの証人が”この世”や”世の人”を徹底的に貶め、蔑むのと同様、
逆にエホバの証人を徹底的に貶め、蔑む。

さらにはエホバの証人に対し少しでも好意的なことを述べる人は、徹底的に叩く。

これらが元エホバの証人コミュニティの特徴であるのは否定できない事実だがしかし、
私はこのこと自体が問題だとは、実は考えていない

元エホバの証人と「被害者の会」

というのは、元エホバの証人コミュニティはたとえば「○○被害者の会」などと似た性格を有すると思うからだ。

「被害者の会」の類で言えば、
現在の日本でもっとも有名なのは北朝鮮による拉致事件に関連した団体ではないだろうか。

これには「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(通称:家族会)」と
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(通称:救う会)」の
2団体がよく知られている。

前者はその名のとおり被害者の家族を中心とした会、
後者は被害者の親族や友人を主体とした会である。

厳密には拉致被害者自身による会ではないものの、
この会を構成する人々は家族や親族を奪われて苦しむ「被害者」そのものであり、
そのような意味で「被害者の会」である。

加害者とされる組織が、ものみの塔と酷似していることで知られる
北朝鮮であるのも例として都合が良いのでこれを取り上げるのだが、

彼ら被害者の会はもちろん、拉致被害者を全員日本に帰国させ、
北朝鮮にしっかり謝罪させることが目標である。

しかし、それはもはや到底達成が困難な目標であり、
自分たちが死ぬまでに自分たちの受けた傷が癒やされないであろうこともそろそろ確定的になってきている。

さて、北朝鮮による日本人拉致が問題となって以降、
日本国内ではそれまで北朝鮮が「夢の国」であるかのように宣伝されたこともあったのとは打って変わって、
とんでもない独裁者による、国民全員が苦しめられ、
搾取されている国であるかのようなプロパガンダが行われるようになった。

もちろん北朝鮮の圧政や貧困に耐えかねた脱北者(無理やり亡命する人)が相次いでいるという報道は事実だろうし、
中国と同じで辺鄙な農村部で暮らす国民が大変な思いをしているのもどうやら事実らしい。

しかし一方で、平壌など都市部をはじめ、北朝鮮の国民(の一部か、多く)
実際それほどつらい目に遭っているわけではないことを示すようなレポートが伝えられるのもまた事実なのである。

もちろんそういう人たちについても外の世界(日本)から見れば「可哀想に」となるわけだが、
現実に「地上の楽園」の中にいて、そこしか知らない人は
それなりに幸せに将軍様を拝して生活しているのが実態であろうと推察されるわけである。

もっとも、北朝鮮は多くの日本人が誤解しているのとは裏腹に、
今や国交を樹立していない国のほうが少数派で、
北朝鮮国内に1社しかない旅行会社によるものではあるが、
ちゃんと外国人が旅行することもできる。

英国では英語版ガイドブックまで売っている。

エホバの証人にたとえるなら、ベテル見学ツアーといったところだろうか。

しかし、もしそれが北朝鮮の「言われるほどには悪くない」実態であるとしても、
前述のような被害者の会において
「北朝鮮はそれほど悪い国ではない、北朝鮮で暮らすことは実はそれほど不幸せなことではない」
などと発言できるだろうか

それは自殺行為である。

事実「家族会」においては2010年、帰国した拉致被害者の兄であり、
かつて家族会でももっとも強硬派として知られていた蓮池透氏の除名処分がなされた。

それは、政府に対して北朝鮮への圧力を求める家族会の方針と合わなくなったからであり、
拉致被害者の当事者である弟に北朝鮮の話を聞いたのが、
考えを改めるきっかけであったと自身で述べている。

つまり、彼は北朝鮮を多少擁護するような態度を見せた結果、
反北朝鮮コミュニティから排斥されたのだ。

元エホバの証人コミュニティというものも、これと似た性格を有する。

つまり、大前提として
「エホバの証人を中立な立場から評価し、その正当性を論ずること」
を目的とした集団ではなく、

エホバの証人が”世”を糾弾するのと同じく、
ものみの塔およびエホバの証人を糾弾することが目的のコミュニティと理解したほうが本質に近く、
そこに前述のような批判を加えても無意味ではないか、ということである。

これもまた善悪の問題とは別に、
マイナス方向へ100傾いたものを0へ引き戻すには、
プラス方向へ100のパワーを加えなければ0まで戻れない、ということだろう。

今まで強度のマインド・コントロール下にあったものを、
対極のマインド・コントロールをかけ直すことで解くという風にも説明できる。

さらに客観的に述べれば、
両極端な意見が存在することで平衡のとれた、
中庸を見出すことができるとも考えられる。

ともあれ、そうなれるまでにはやはり一定の浄化期間が必要だ。

(※)2019年9月の記事移設に際し、改題しました。

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コメント

  1. わたし、仏教です。エホバ教徒とは、友達なれないのですか?

      • Phantom
      • 2019年 11月 26日

      厳格に社会と隔絶して生きるタイプの宗教ではないので、友達になれないということはないでしょう。
      しかし一般的なエホバの証人であれば、敢えて他宗派であることを前面に押し出して近づいてくる人と仲良くなろうとは思わないでしょうね。
      他の宗教どうし平和に仲良くやろう、といった発想は皆無なので、布教の対象にされるのがオチではないかと。

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