イエス・キリストが死ぬと人が救われるのはなぜか(2)

ヨーロッパ文明から読み解くエホバの証人

イエス・キリストが死ぬと人が救われるのはなぜか(2)

聖書から考える「原罪」の仕組み

イエス・キリストが死ぬと人が救われるのはなぜかについて、
もう少し論理的な説明を、聖書を根拠としつつ紹介しておきたい。

旧約聖書に書かれているとおり、古代世界では「復讐」という考え方が常識だった。
「目には目を、歯には歯を」というやつである。

例えば、A族の男Xが、B族の男を殺した。

するとB族の人々はXを殺す権利が生まれる。

ところが、Xだと思って殺した人間は、Xの兄弟であるYだった。

となると、復讐自体は済んでいるので殺人を犯したXは罪があるまま罰せられずに済む。

この身代わりになった、罪のないYがイエスであり、Xは人類である。

罪のないイエスが人類の罪を背負って死んだので、人類は罪があるまま赦される、という考え方だ。

ただし、これは救われるチャンスが発生しただけであって、
最終的に判決を下すのはあくまでもイエス・キリストだ。

そういう良い教え(福音)を信じないということは、
神との関係を壊すということで罪なのだ、ということになる。

こちらの説明のほうが少しはわかりやすいが、
それもこれも「原罪」の考え方を受け入れてからの話だ。

何もしていないつもりなのに犯罪者呼ばわりされている状態には変わりないのだから。
それを受け入れる人間とはいったいどのような心持ちなのだろうか。

「赦し」の意味をねじ曲げてしまったものみの塔

もっとも、エホバの証人もどれほど原罪を真剣に捉えているかは疑問だ。

最初の人間アダムの罪がその後の全人類に及んだ、というところまでは共通しているが、
それを赦されるためにはとにかく自分たちの教団を布教しなければならず、

指導者(統治体)の指示に従わなければならない、という方面にねじ曲げられており、
日々の善行を積まなければならないという本質的な部分がスッポリと抜け落ちているからだ。

エホバの証人にとっては布教活動と統治体信仰こそが「善行」だということである。

だから、人に迷惑をかけようが、社会的義務を果たさなかろうが、
他人を傷つけようが、子どもを虐待しようが意に介さないのだ。

エホバの証人に、善きサマリア人はいない。

もっとも、善行を積まねばならないとするのはカトリック寄りの教えであり、
人は信仰によってのみ義とされるとするプロテスタントの流れを汲むと解釈すれば妥当とも言えるのだが。

カトリック以前の信仰の復活がエホバの証人ではなかったのだろうか。

信仰を統治体に向けさせることが目的で、中身はどうでも良い。
それを前提に考えると、合理的な説明が全てついてしまうのが現在のエホバの証人である。

現役であるあなたが今の信仰に疑問があるなら、キリスト教の目指すところから考えなおしてみてほしい。

信仰はあるけれどエホバの証人に疑問を抱いているのなら、
他教派とどの部分がどう違うのかくらいについては調べてみてほしいものだ。

エホバの証人がよく間違えていること

さて、エホバの証人の教えが正しければ、最終的にはハルマゲドンが来る。
これは2世なら間違いなく知っていることだが、多くの信者がよく分かっていないポイントがある。

それが、ハルマゲドンと最後の審判に関してだ。

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